2015年4月27日月曜日

療養生活を支えるもの(4)スイッチボックス

夫は元気な時から比較的痰が多く出る方で、呼吸が弱くなるにつれて、
それを処理することが徐々に難しくなってきた。

仕事に行っているときは、スクリュートップの缶コーヒーの空き缶を携帯し
それを痰壷がわりにしたりしていた。

自宅療養に入る時に吸引器を購入。(1台目は公的補助あり)
始めは自分でスイッチを操作して使っていたが、手の力が衰えてきて
スイッチを押すのが難しくなり、フットスイッチ付きのものを新たに自費で購入。
日中椅子に座って過ごしていたときは、マイクスタンドの先に、
マイクの代わりに吸引用の「レディケア」という芯入のチューブを装着し、
口元にいつもスタンバイさせておいて、必要な時に足でスイッチを押していた。

その後足の力も弱くなってこのフットスイッチも使えなくなり、
ベッド生活に入ってからは、吸引が必要な時は人に頼まなければならず、
誰も近くにいない時に痰を誤嚥する心配があり、実際随分苦しい思いをすることもあった。

いま夫は足先はまだ少し動かせるので、
軽い力で押せる「スペックスイッチ」というのを足につけて
パソコンのマウスのクリックに使っているのだが、
同じようなスイッチで吸引器のON/OFFができればいいのだが、
そういう軽いスイッチではそこまでのパワーはない。

多少電気の心得のある夫は、「リレーを作ればいいと思うのだけど」と言っていたけれど、
いかんせん手が動かないので自分では作れないし、私などにはさっぱりわからない。
ところが先日、古い友人がそれを実現してくれた。

この人は電気や音響の仕事をしている人で、夫はその趣味を通じて知り合ったのだが、
後に、別の場所で知り合った友人の義兄にあたる、ということがわかったというご縁。
先月、その別の友人の方から、「義兄がなにか手伝えるのでは」という申し出があり、
久しぶりに連絡を取ってこちらの希望を伝えたところ、
あれよあれよという間に立派なスイッチボックスを作ってくれたのだ。



 
ウラ・オモテ



この写真の手前にあるのが「スペックスイッチ」というやつだ。
50g以下の力でON/OFFができる。




こういう障害者支援機器というのは通常、市の支援センターが対応してくれて、
うちでもパソコンに足で操作するトラックボールをつなぐ仕組みとか、
その後今も使っている、顎と足でマウスを操作する仕組みとか、作ってもらったのだが、
この人たちはとにかく仕事が遅い。
アポとって来るまで2週間、作成まで2週間、
できたものを試して、しかし実際に渡すものは改めて新品で作るから・・・
などとやっているうちにどんどん時間が過ぎてしまい、
進行性の病人をなんと思っているのかといつもいらいらさせられた。

今回作業してくれた友人は、脳梗塞やら癌やらの既往症があり、
今も手が震えるなど自身が不自由な身体なのに、
最初に連絡をとってから納品まで3週間、
打ち合わせに来宅してから2週間でやってくれたのだ。
感謝である。

おかげで夫はまた、自分が必要な時に自分で吸引器を作動させることができるようになり、
夫のストレスも、介護側の負担も減り、助かっている。

痰の吸引は、ALS患者に限らず様々な在宅療養者と介護者の課題になっていると聞く。
一人ひとり状況は違うものなので、ほかの人のことはわからないけれど、
もしかするとこの装置が助けになる人もあるかもしれない。
今回作ってもらったスイッチボックスの回路は公開して構わないと友人も言ってくれており、
それがあれば、おそらく工業高校の生徒さんでも制作できるだろうということなので、
関心のある方はコメントでお問い合わせくださればと思う。

2015年4月7日火曜日

Happy Birthday!

Last Saturday was my husband's birthday.
As it fell on the Good Saturday, we waited until the Easter Sunday to celebrate.
Our tango (and Gyoza) friends came over, to eat, drink, talk and laugh.
Making Gyoza together is now a staple when we gather.
We make dumplings together, and Gyoza Maestro cooks them.
How lucky we are to have him in our circles!
 
   
A new feature of the party this time was a violin duo of me and T.
I have been working on Bach's doppel concerto in my lessons for the past few months,
and I wanted to have my husband hear me in a duo, so I asked T to help.
I rarely have a chance to play the violin in front of anyone, so I was very nervous and my heart was pounding like never before.  But it was fun!  And we managed to play better than ever.  My husband had apparently been waiting for our play to fall apart, but , sorry!, we betrayed him.

We also had A who is a ballerina show off her skills with point shoes.
Amazingly, she told us her feet don't hurt because she is standing with her stomache and side muscles.  Wow!  It was really a special treat to see real ballet up so close.


For us, surviving to this birthday alone was special, and being able to celebrate it with close friends made us very happy.  Thank you friends!

先週の土曜日、夫が誕生日を迎えた。
聖土曜日と重なったので、お祝いはイースターの日曜日にいつものタンゴの仲間と
餃子パーティーをすることに。

  

餃子はみんなにお任せ、うちではデパートの「大九州展」でゲットした辛子蓮根や、
鶏めしの具材で炊いたご飯、サラダなどを供し、あとは唐揚げやチーズやワインや、
みんなそれぞれ食べたいものを持ち寄って、美味しく楽しく、音楽談義に花を咲かせた。

今回は、最近レッスンしていたバッハのドッペルを夫への誕生日プレゼントにしたいと思い、
Tちゃんにお願いしてduoを決行。一回の合わせでどこまで合わせられるか不安だったけど、なんとかいい感じに合わせられて、心臓バクバクしながら、
でもアンサンブル楽しい!という幸せな時間を過ごすことができた。

もう一つ、バレリーナのAちゃんにお願いして、
トウシューズで踊るところを見せてもらった。

  

M氏のiPodでてきとーに選んだ曲で即興で踊ってくれたのだが、
見事な足さばき、バランス感覚、体の伸びで、素晴らしかった。
驚いたことに、 腹筋や脇の筋肉で立っているから、
トウシューズで立っていても足は痛くないのだそうだ。へええ

 こないだFBに上がっていた英語の広告で、傷だらけのつま先とトウシューズの写真に
 「~~のためなら苦労は惜しまない」みたいなキャプション付いたのがあったけど
 あれはウソなんだな。。。

外出できない夫に、生の音楽と生のダンスを楽しんでもらえて、よい誕生日になった。
みんな忙しい中、ありがとうね。